犬に脂質(脂肪)は必要?オメガ脂肪酸どうして重要なの?
脂肪の働きもエネルギーとなり、また、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもある
必須脂肪酸(合成できない脂肪酸)の供給も行われて欠かすことのできない成分
健康を維持するために、体に必要なもの(栄養)を取り込むうえで
特に必要な「炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル」が重要な栄養素
脂質(脂肪)は、重要な高エネルギー源として使われるほか
体の構成成分としても役立つことになり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもある
脂質とは、「油脂、脂肪酸、グリセリン、コレステロール」等を合わせた総称
肥満の原因となる「脂質」は、与えない方が良いの?
脂肪と聞くと、「肥満の原因」というイメージが大きく
できるだけ与えない方が好ましいと考えてしまいがちですが・・・
確かに、過剰に摂取することで、肥満の原因になりかねないですし
多く取り過ぎることで「高脂血症」など、健康上に問題が生じることに繋がる
かと言って、少なすぎても「被毛・皮膚」などに表情が現れたり
また、生理機能に必ず必要となるので脂肪を多く含む食事が適していますね!
具体的な成分量の目安は!
具体的な成分量としては、「AAFCO」では、最低基準が設定されていて
成長期では「8.5%以上」、成犬期では「5.5%以上」と、なっている
※ 水分を取り除いた乾燥重量の場合
一般的に見ると、成長期では「18%前後」、成犬期では「15%前後」と、
16%を超えると、やや多すぎとなるので注意が必要ですね!
※ 水分が含まれている重量の場合
但し、愛犬の個体差によっても変わりますし、運動量や肥満度的にも
異なってくるので、定期的な体重測定などで観察することも大事です!
AAFCOで設定された最低要求量
栄養素 | AAFCO 幼犬用基準 | AAFCO 成犬用基準 |
---|---|---|
脂質 | 8.5 % 以上 | 5.5 % 以上 |
※ 水分を取り除いた乾燥重量比
一般標準の目安
栄養素 | 標準 幼犬用基準 | 標準 成犬用基準 |
---|---|---|
脂質 | 18 % 前後 | /15 % 前後 |
※ 水分が含まれている重量比
脂質(脂肪)の役割
エネルギーの供給
脂質の持つエネルギーは、炭水化物やタンパク質の2倍以上のエネルギー源
また、炭水化物やタンパク質より効率的に利用される
体の機能を正常にする
皮膚の健康を維持する必須脂肪酸は、体の機能を正常にする効果がある
脂溶性ビタミン「A・D・E・K」の吸収を助ける
脂溶性ビタミンの吸収を助ける上でも、脂質は必要不可欠となる
必須脂肪酸を供給する
体内で合成できない「ω-3脂肪酸・ω-6脂肪酸」を摂取する必要がある
食欲を増進させる
主にタンパク質の量が食欲を増進させるが、脂質も食欲を向上させる
脂質の「過剰・欠乏」について
脂質の過剰
脂質を多くとることで、消費カロリーを上回ってしまい
長期間続けていけば、「肥満」になってしまう
脂質を取り過ぎることで、
脂質代謝に異常が起こり「高脂血症」を発症する可能性がある
脂質の欠乏
被毛は乾燥して艶が無くなり、皮膚が鱗状(うろこのような状態)になったり
皮膚表面の脂質膜が変化する、また、膿皮病にかかりやすくなる
長期的に欠乏が続く場合は、「脱毛、浮腫、湿潤性皮膚炎」が発病する
必見脂肪酸(EFA)欠乏は、繁殖能力が低下、厳しいEFA欠乏は衰弱も生じる
脂肪酸とは
脂肪酸とは、脂肪を構成する成分の1っ
食物から体内に取り入れられた脂肪は、
消化酵素によって「グリセリン」と「脂肪酸」に分けられて利用される
脂肪酸は、「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」に分けられる
飽和脂肪酸
動物性脂肪に多く含まれ「肉の脂、バター」など、常温で固形となるものが多い
不飽和脂肪酸
植物や青魚の中に多く含まれ、常温で液体となるものが多い
不飽和脂肪酸には!
不飽和脂肪酸には「オメガ9系、オメガ6系、オメガ3系」の三つに大別
オメガ9脂肪酸
「オレイン酸」
オリーブ油、キャノーラ油
オメガ6脂肪酸
「リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸」
コーン油、ひまわり油、大豆油、綿実油、ごま油
オメガ3脂肪酸
「α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)」
亜麻仁油、しそ油、えごま油、魚油(青魚)
※ ω(オメガ)○系、n-○系といった呼び方もされている
犬に必要な必須脂肪酸(EFA)
「オメガ-3脂肪酸・オメガ-6脂肪酸」
「ω-6系」と「ω-3系」の脂肪酸は、
体内で合成できずに、食物などから摂る必要があるので必須脂肪(EFA)となる
「ω-9系」(オレイン酸)の脂肪酸は、
油から取り入れるほか、体内でも合成されます
犬では、「リノール酸からアラキドン酸」に転換することができるので
リノレン酸(ω-3系)も、重要な脂肪酸とされる!
EFAが不足すると生理活性が制限されるので、
体内で合成できない脂肪酸については、食餌から摂取しなければなりません
ω-3系の、特にDHAは、脳や網膜機能に必要とされていて
ω-3系・ω-6系は、細胞膜、流動性や皮膚の健全な発達に役に立つ
注意点としては
ペットフードの加工工程の中で、影響を及ぼすこともある!
脂肪酸は、過度の加熱などによって変換されてしまい
エネルギー源としては、代謝されて貯蔵脂肪として取り込まれるが
「必須脂肪酸」としては、機能しなくなる!
高温・高湿度で長期間保管により酸化が原因!
酸敗(脂肪が酸化)してしまうと、栄養価の低下に繋がり不足を招く
ドッグフードの酸化や保存状況が悪いと、脂質自体の欠乏に陥ることもある!
含有比率の割合について
「オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸やEPAとDHAの含有比率が変わると
体内における生理作用が変わってしまう可能性がある」との声もあり、
確かに、様々な研究報告があるものの、はっきりした明快な答えは無いようで
とは言え、必須脂肪酸は、バランスよく摂取することが大切と考えられている
例えば「厳格な基準を満たしたプレミアムドッグフードを製造・販売しているユーカヌバでは、1994年に「5~10:1」の割合にすることが、犬の皮フ・毛づやに貢献することを発見」
ユーカヌバ-Wikipedia
「ユーカヌバ」で、報告されていることから
ネット上で「5~10:1」が最も良いバランスと言われている所以ですね!
オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸は、必要なことは間違いないですが、
こうした含有比率の、ベストな割合は、よくわかっていないのが現状です
一般的なペットフードなどの食生活では、オメガ3脂肪酸は不足気味で、
オメガ6が過剰摂取になりやすい傾向があると指摘されています
そう言った意味では、
サプリメント的に、オメガ3脂肪酸を補うことも必要になってきますね!
FEDIAF(フェディアフ)では、脂質の最小推奨の基準値
FEDIAF(フェディアフ)とは、欧州ペットフード工業会連合
ヨーロッパのペットフード業界を代表する業界団体
FEDIAFとは?栄養基準と製造に関するガイドラインを発行
犬の推奨栄養素レベル - 乾物量(DM)100 g当たりの単位
栄養素 | 単位 | 最小推奨 | 最大 (L) EUの法的制限 (N) 栄養価 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
維持期 MER(kcal/kg0.75) | 成長期 (<14週)/繁殖期 | 成長後期 (14週間以上) | ||||
95 kcal | 110 kcal | |||||
脂肪 | g | 5.50 | 5.50 | 8.50 | 8.50 | - |
リノール酸 (ω-6) | g | 1.53 | 1.32 | 1.30 | 1.30 | 初期成長:6.50(N) |
アラキドン酸 (ω-6) | mg | - | - | 30.00 | 30.00 | - |
α-リノレン酸 (ω-3) | g | - | - | 0.08 | 0.08 | - |
EPA + DHA (ω-3) | g | - | - | 0.05 | 0.05 | - |