犬での炭水化物の役割!得意分野が異なる食物繊維の性質とは

炭水化物

炭水化物は「炭素・水素・酸素」が結びついた化合物
「単糖類、二糖類、多糖類」に分類され、多糖類は「でんぷん・繊維」に分類される

エネルギーとして活用され、脳や神経細胞(筋肉)を動かすのに役割を果してる
また、「繊維質」は、大腸内の細菌によって分解され腸内環境を整える役割がある


健康を維持するために、体に必要なもの(栄養)を取り込むうえで
特に必要な「炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル」が重要な栄養素

炭水化物は、「単糖類、二糖類、オリゴ類、多糖類」に分類
単糖類が、鎖状か網目状に繫がっている

1の糖が繫がったものを「単糖類」、2の糖が繫がったものを「二糖類」、
3~9の糖が繫がったものを「オリゴ類」、9以上の糖が繫がったものを「多糖類」


多糖類は「でんぷん・繊維」に分類される

消化酵素によって消化される多糖類が「でんぷん」
酵素の消化に抵抗性があり、腸内殺菌によって発酵する多糖類が「繊維」




大きく分けると、
炭水化物は「でんぷん」と「食物繊維」に分けられる

炭水化物の「糖」は、「でんぷん」「繊維質」に分けられ、その内「でんぷん」が
エネルギーとして活用され、脳や神経細胞(筋肉)を動かすのに必要不可欠なもの

「繊維質」に関しては、消化酸素で分解されないが、
一部の「繊維質」は、大腸内の細菌によって分解され腸内環境を整える役割がある



消化酵素によって「でんぷん」は、分解されて体内に吸収される
消化されない「食物繊維」は、腸内細菌の栄養源となるが、ほとんどが排泄




穀類

主なデンプンは「トウモロコシ、小麦、米、大麦、蒸麦、ジャガイモ」に見られる




消化と吸収


胃では、蛋白質を消化するにあたって、非常に常用な役割があるのだが
炭水化物については、ほとんど消化されることが無く

炭水化物の「でんぷん類、糖」は、
小腸(膵臓から分泌される酵素が小腸内腔)で消化吸収される

小腸内腔で、吸収されなかった炭水化物(でんぷん類、糖)は、
水やミネラルの吸収を減少させてしまい、小腸性下痢の原因となってしまう

小腸粘膜にある刷子縁の酵素が、炭水化物の消化と吸収で重要な役割を果たす

炭水化物(繊維)については、
小腸での消化酵素によって消化はされなくて、そのまま排泄物となる

但し、一部の繊維は、大腸(結腸)の微生物によって発酵を受ける
発酵作用(腸内細菌に分解してもらう)

大腸(結腸)に存在する腸内細菌(ビフィズス菌、乳酸菌)などのエサとなり
そのときに、「乳酸や酢酸」などの酸が作られて酸性の環境が促進する

乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌」は、
腸内細菌叢(腸内フローラ)を健全な状態に維持し、腸内環境を整える





特殊な働きをする炭水化物

オリゴ糖
「善玉菌」の栄養源となり発酵する「発酵性繊維」

オリゴ糖は、小腸で消化されず、そのまま大腸(結腸)で、細菌(ビフィズス菌、乳酸菌類)の働きで、オリゴ糖を発酵させてこれらの細菌を増殖速度を高めるにに役立つ

ビフィズス菌は、短鎖脂肪酸を生産して病原性の細菌の増殖を制御する





炭水化物(でんぷん)の役割

エネルギーの供給
 解糖系とTCA回路を経て、素早くエネルギーに利用される

体内の熱源
 二酸化炭素と水に代謝される際に、体内の熱源になる

他の栄養素の原料
 例えば、「非必須アミノ酸やビタミンC」などの原料として使われる

他の栄養素の原料
 グリコーゲン(肝臓・筋肉などに含まれ、エネルギー代謝に必要な物質)として蓄え




炭水化物(繊維)の役割

正常な腸の機能を増進と制御を助ける
 繊維が消化管全体の最適な機能や健全性の維持のため必要とされている

下痢と便秘
 繊維は、消化管中の水分量を正常化(発酵が速い繊維と発酵が遅い繊維が適量)
 下痢の時は「水分を吸収」させ、便秘の時は「水分を付加」させる

満腹感
 発酵の遅い繊維を含むペットフードは、肥満にとって非常に有効的
 胃や腸で嵩を増すことによって満腹感が得られる

糖尿病
 発酵が速い繊維と発酵が遅い繊維のどちらも、糖尿病の血糖値の制御に有効




不足すると?摂り過ぎたら?

炭水化物の過剰

エネルギーとしても十分な炭水化物(糖)は、
脂肪等に転換されて体内に蓄積され、肥満の原因となる

炭水化物(繊維)の過剰は、あまり好ましくない
ある種の繊維は、ミネラルの吸収に影響を及ぼす(繊維の種類やミネラルによって変わる)

例えば、速く発酵する繊維(ペクチン、グァーガム)は、
いくつかのミネラルの利用性を制御すると考えられている
(セルロースを多く含む繊維はミネラル吸収にほとんど影響はないとされている)

炭水化物の欠乏

基本的には、「必須アミノ酸や必須脂肪酸」のように、絶対的に必要と言うものではないが、中枢神経系に不可欠なエネルギーを供給するため適切な量は必要

食餌中に、炭水化物が含まれていないと、グルコース前駆物質を供給する「脂質・蛋白質」の代謝経路に負担をかける形になる

一般的なペットフードであれば、基本的に炭水化物が含まれていないことは無く、
要求量は満たしているので、炭水化物の欠乏は特に問題にはならない





食物繊維


繊維といっても、それぞれ得意分野が異なる!

繊維源(食物繊維)は、発酵が「速い・遅い」によって分類され
「水溶性食物繊維、不溶性食物繊維」に分けられる


不溶性食物繊維(水に溶けない)
水分を吸収する食物繊維で便の嵩を増やします
腸を刺激してぜん動運動を活発化し排便を促す

特性発酵性が遅い
成分リグニン、セルロース、ヘミセルロース

穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、甲殻類など

水溶性食物繊維(水に溶ける)
消化管でゲル状にし粘性がある
腸内細菌(善玉菌)のエサとなり腸内環境を整える

特性発酵性が速い、保水性が高い、粘度が高い
成分ペクチン、グアーガム

昆布、わかめ、こんにゃく、果物、里いも、大麦、オーツ麦など


※ 基本的に繊維は保水性があるが、水溶性繊維は、特に保水性が高い
※ 水に溶けることと、消化できることとは違う 「水溶性」≠「消化性」
※ 水分を吸収して膨張する性質がある「不溶性食物繊維」は、糞便が増し便秘の解消を得意とする

炭水化物と繊維の区分方法繊維の溶解性
グアーガム速いの発酵性水溶性食物繊維
ゴム
ペクチン中度の発酵性
セルロース遅い発酵性不溶性食物繊維
セミセルロース
リグニン消化されない、発酵されない
抵抗性デンプン中度の発酵性-
デンプン酵素的に消化
単糖、二糖類吸収

水溶性と不溶性、そろぞれ特徴が異なり、
犬にとって、どちらが良いの?と、言うことではなく!

それぞれ得意分野が異なりますので
両方のメリットを生かして、バランスよく配合されているのが好ましい

どちらかと言えば、「水溶性食物繊維」の方が不足しやすい傾向はあるものの
あまりにも過剰に与え過ぎると、ミネラルのバランスが崩れることもあるので注意が必要ですね!