ビタミンは犬に必要な成分だが摂取量によって「欠乏・中毒」に

ビタミン

ビタミン(vitamin)とは
ごく微量の摂取で、酸素反応の促進因子や補因子として働くことになり
体内の物質代謝を円滑にするために必要な成分の総称

食品に含まれている栄養素で、体内の代謝に役立ち
水に溶けやすい「水溶性ビタミン」油脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」に分けられる





「ビタミン」は、犬にとっても必要不可欠な成分となっていて

犬の体の調子(健康)を整えるのに非常に幅広い役割を果たしている!



摂取量によって「欠乏・充足・中毒」
ライフステージ合わせてバランスよく、適切な摂取量の範囲以内で!

脂溶性ビタミンは、すべての組織の脂肪滴に蓄えられるので、
欠乏にはなりにくいが、過剰摂取(中毒)になりやすい傾向がある

水溶性ビタミンは、貯蔵が限られていて、
過剰摂取しても排泄されるので、中毒になりにくいが、欠乏しやすい傾向がある


必要不可欠なビタミン

脂溶性ビタミン
「ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK」

水溶性ビタミン
「ビタミンB1(チアミン)・B2(リボフラビン)・B3(ナイアシン)
B5(パントテン酸)・B6(ピリドキシン)・B7(ビオチン)・B9(葉酸)
B12(コバラミン)・コリン・ビタミンC」





目次




ビタミン(脂溶性ビタミン)

ビタミンは、食餌(ペットフード)の中に「IU/kg、mg/kg」水準で必要とされている

脂溶性ビタミンは、すべての組織の脂肪滴に蓄えられるので、
欠乏にはなりにくいが、過剰摂取(中毒)になりやすい傾向がある

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK

ビタミンAは、「目・毛・皮膚・粘膜・歯」の健康に重要
ビタミンDは、消化管で「リン・カルシウム」を吸収させ、それらを骨に沈着させる
ビタミンEは、老化を防ぎ、細胞膜を健全にする、ペットフードの脂質酸化を防ぐ
ビタミンKは、出血を抑える役目を果たしている、また、骨の健康維持の活性化


ビタミンA(レチノール)について

ビタミンA(レチノール)

ビタミンA は、多くの生物学的機能に必須で、正常な「視覚、成長、繁殖、免疫機能、上皮組織の維持」に必要、また、遺伝子発現調節にも関連している

比較的に吸収率(80%~90%)と高く体内へ蓄積できる


幼犬「5000IU ~ 250000IU」、 成犬「5000IU ~ 250000IU」AAFCO基準
ビタミンA:1IU = 0.300μg(1µg = 0.001000000mg)





ビタミンD(カルシフェロール)について

ビタミンD(カルシフェロール)

ビタミンDは、「カルシウム、リン」の体内蓄積や骨への沈着の促進
また、腸管での吸収や動員も促進(代謝の調整)を助ける重要な働きがある栄養素

ビタミンDは、食事から補給する必要がある


幼犬「500IU ~ 3000IU」、 成犬「500IU ~ 3000IU」AAFCO基準
ビタミンD:1IU = 0.025μg(1µg = 0.001000000mg)





ビタミンE(トコフェロール)について

ビタミンE(トコフェロール)

「ビタミンE」は、体内や食餌中で抗酸化物質として働いている
体内では、「α-トコフェロール」が最も生物学的活性が高い

ペットフードの脂質酸化を防ぐために幅広く用ちいれられている


幼犬「50 IU/kg 以上」、 成犬「50 IU/kg 以上」AAFCO基準
ビタミンE(dl-α-トコフェロール酢酸エステル):1IU = 1mg
ビタミンE(d-α-トコフェロール):1IU = 0.667mg





ビタミンK群について

ビタミンK(K1=フィロキノン)(K2=メナキノン)

「ビタミンK」は、正常な血液凝固の役割を担う必須な栄養素
また、成長中の骨の健康維持の活性化を助ける


AAFCO基準では、許容下限量の設定を定めていない
成長期には「乾物1kg当たり1.64mg」維持期では「乾物1kg当たり1.63mg」
繁殖期・授乳期には「乾物1kg当たり1.6mg」を推薦されている





ビタミン(水脂性ビタミン)

ビタミンは、食餌の中に「IU/kg、mg/kg」水準で必要とされている

水溶性ビタミンは、貯蔵が限られていて、
過剰摂取しても排泄されるので、中毒になりにくいが、欠乏しやすい傾向がある

「ビタミンB1(チアミン)・B2(リボフラビン)・B3(ナイアシン)・B5(パントテン酸)
B6(ピリドキシン)・B7(ビオチン)・B9(葉酸)・B12(コバラミン)・コリン」
「ビタミンC」

ビタミンB群は、酵素として働いたり、酵素の働きを助ける
ビタミンCは、健康な犬であれば体内(ぶどう糖)から合成できる


ビタミンB1(チアミン)について

ビタミンB1(チアミン)

「チアミン」は、主要な補酵素型のチアミンで、いくつかの酵素反応に必要
糖質の代謝、エネルギー代謝機能に関与、神経伝達物質の正常化


幼犬「2.25 mg/kg以上」、 成犬「2.25 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンB2(リボフラビン)について

ビタミンB2(リボフラビン)

「リボフラビン」は、50種の酵素の補酵素として、
特定の酵素が機能するために不可欠な補助因子のひとつとして助けている

また、エネルギー代謝の、中間代謝に関与していて、主に酸化還元酵素の反応においても機能している


幼犬「5.2 mg/kg以上」、 成犬「5.2 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンB3(ナイアシン)について

ビタミン B3(ナイアシン)

「ナイアシン」は、「ニコチン酸とニコチン酸アミド」の総称
酸化還元反応が主な機能ではあるが、正常な細胞機能においても重要になる


幼犬「13.6 mg/kg以上」、 成犬「13.6 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンB6(ピリドキシン)について

ビタミン B6(ピリドキシン)

「ピリドキシン」は、酵素の補助因子として機能
ほとんどのアミノ酸代謝反応に必須で、脂質代謝にも関与している


幼犬「1.5 mg/kg以上」、 成犬「1.5 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンB5(パントテン酸)について

ビタミン B5(パントテン酸)

「パントテン酸」は、代謝において関わっていて最も重要な補酵素の1つである


幼犬「12 mg/kg以上」、 成犬「12 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンB9(葉酸)について

ビタミン B9(葉酸)

「葉酸」は、中間代謝において一炭素単位の供与および受容分子として働く

核酸の生合成、リン脂肪の生合成、アミノ酸代謝、神経伝達物質の生産
クレアチニンの生産など、特殊な代謝経路に関与している


幼犬「0.216 mg/kg以上」、 成犬「0.216 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンB7(ビオチン)について

ビタミンB7(ビオチン)

「ビオチン」は、4種類の異なるカルボキシラーゼ反応にとって必須の補因子

「脂質代謝、糖質代謝」、いくつかの「アミノ酸代謝」、「エネルギー代謝」で
重要な役割(機能)を果たす上で必要不可欠な栄養素となる


幼犬「0.07 mg/kg以上」、 成犬「0.07 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンB12(コバラミン)について

ビタミンB12(コバラミン)

「ビタミンB12」は、一炭素単位代謝において重要な役割
体内では主にメチルコバラミンとアデノシルコバラミンが補酵素として働く


幼犬「0.028 mg/kg以上」、 成犬「0.028 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミンC(アスコルビン酸)について

ビタミンC(アスコルビン酸)

「ビタミンC」は、抗酸化物質やフリーラジカル消去剤として体内で機能している
また、白血球の食作用を促進することで免疫機能の役割も果たしている

運動ストレスからの回復などに効果がある場合があるとされているが
股関節形成不全に対する予防効果の有効性は証明されていない

通常の健康の場合は、体内(肝臓)で、生合成され蓄積することができる
但し、合成能力は年齢とともに低下していき、急激に合成能力が落ちてしまう


AAFCO基準では、許容下限量の設定を定めていない
ビタミンCは必須の栄養素でないため推奨量を設定していない





コリンについて

コリン

「コリン」は、生体膜を構成している一部で、脂質輸送を促進していて
肝機能を、正常に保つ上で必要不可欠な栄養素となる

また、肝臓で「コリン」を合成することができてはいるが、
他のビタミンB群より多く量を体内で必要としていて、食餌からも補う必要もある

※ ビタミンB群の1っに分類されているものの、厳密な定義を完全に満たしてはいない


幼犬「1360 mg/kg以上」、 成犬「1360 mg/kg以上」 AAFCO基準
AAFCO基準では、上限を定めていない





ビタミン様物質

ビタミン様物質とは、
ビタミンに似た特性を示すが、ビタミンの厳密の定義には当てはまらない

微量で体内の代謝に重要な役割を担うが、ビタミンとは違って体内で生合成できるため、栄養素として必ずしも摂取する必要がないものとされている

L-カルニチン、カロテノイド、バイオフラボノイド




L-カルニチン
95%以上が「骨格筋、心筋」にL-カルニチンが分布されて重要な蓄積部位となる
また、エネルギー産生(脂肪酸代謝)にも関わっている

必須アミノ酸の「リジン、メチオニン」等から体内の細胞内で生合成される

「リジン、メチオニン、アスコルビン酸、二価鉄イオン、ビタミンB6、ナイアシン」は、L-カルニチンの代謝に重要とされ、生合成に関わる酵素に必要な変換や物質となる


カロテノイド
「植物、動物」脂溶性の天然色素類
活性酸素種を消去することによって抗酸化物質として機能する

600以上の種類の化合物がカロテノイドとして分類されている
その中で、ビタミンAへと代謝されるのは、わずか10%以下

主なカロテノイド「β-カロテン、α-カロテン、ルテイン、リコピン、β-クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン


バイオフラボノイド
フラボノイドは、ビタミンCと同じように機能することからビタミンCを節約できる効果がある

フリーラジカル消去剤であるため、抗酸化物質として作用することもできる
フラボノイドは、ビタミンCやビタミンEよりも強い抗酸化能を示している



その他の、ビタミン活性化を持つ物質には
リポ酸、ユビキノン、オロチン酸、イノシトール、パラアミノ安息香酸