愛犬の関節炎トラブルとは!なに?3っの予防&対策と食事管理

関節トラブル

整形外科疾患で外来される比率は、4頭に1頭と多く
その内の7割が、四肢(両手と両足)に認められるそうです!

更に、1歳未満の子犬が22%を占めて、
その内2割が、栄養学的の要因に関与されていると言われている


関節炎とは

関節炎は、骨と骨の接合面を保護している「関節軟骨」に支障がでて
関節の曲げ伸ばしやクッション機能が失われ、炎症を引き起こしてしまう病状

徐々に悪化していき、関節を動かす(骨と骨が接触)するなど
痛みが伴い、場合によっては骨が変形してしまう

炎症、疼痛(痛み)、跛行(体重を支えられず足を引きずって歩く)




発育期の整形外科疾患について

発育期による整形外科疾患は、特に大型犬に注意が必要で
成犬時に、25kgを超えると予想される大型犬種の特有の疾患!と懸念されている


要するに、骨格系の異常は、発育期(成長期段階)に
過剰な栄養素によって、成長が速く進むことで起こりうる病気です

予想される体重(犬種)によって、成長期間が異なり
25kg以下の中型犬や小型犬などは、1年以内に成長期を終えるのですが

特に、25kg以上の(大型犬、超大型犬」の成長期間は18ヶ月~24ヶ月と
大型犬になるほど、成長期が長くなりますね!

サイズ体重成長期間
超小型犬成犬体重 4kg未満50日~10ヶ月
小型犬成犬体重 10kg未満50日~10ヶ月
中型犬成犬体重 25kg未満50日~12ヶ月
大型犬成犬体重 44kg未満50日~18ヶ月
超大型犬成犬体重 45kg以上50日~24ヶ月


この成長期間も助けて、大型犬は急速に成長する傾向があり
特に、大型犬以上は、整形外科疾患のリスクが大きいとされている

(ジャーマン・シェパード・ドッグ、ロットワイラー、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、フラットコーデット・レトリーバー、バーニーズ・マウンテンドッグ、ニューファンドランド)など




股関節異形成
股関節が、発育の段階で起きる異常な形成で
関節が不安定ならびに大腿骨の先端が変形と言った状態になる

遺伝的要因を加えて、成長時期に偏った栄養が要因によって起こる整形外科疾患

幼齢期に、過剰な栄養を与えたりすることは、
股関節形成を発症させる原因といわれている

骨軟骨症
若齢期に、急速な発育を示す動物に見られる疾患で
骨端、または、骨頭の軟骨に生じる

肘関節異常形成
成長期の肘関節に形成異常を示す病態

犬種ごとに特徴が異なり、遺伝的要因が大きいとされているが
「栄養、体重、運動」などの要因も受けやすい




遺伝による要因

人もそうですが、同様に犬も遺伝性疾患があり、
発育期による整形外科疾患も、遺伝(品種・血縁)による要因も大きく

親犬、又は、一代前の同腹犬の骨格系に異常が見られれば、
その子もリスクがある可能性が大きいと考えられている

例えば、「股関節異形成」は、
発病の70%が遺伝が原因で、残りの30%が栄養過多と言われている




栄養素による要素

近年は、市販のペットフードを適切に与えれば
栄養の過不足による整形外科疾患は少なくなってきたと言えますが

とは言え、「食餌、おやつ、サプリメント」からの栄養素を過剰に摂取
または、手作り食での高エネルギーの給餌によるなど

例えば、「カルシウム:リン」比の異常や、ビタミンDの過剰摂取など
骨格形成や関節の異時性成長を引き起こす原因となる


特に、長骨骨端板の閉鎖の時期である
「6ヶ月~13ヶ月」に、「体重過剰/肥満」には注意が必要になる

日常生活で、歩き方などに異変が見られるようになり
普段と比べて何かおかしな様子が伺えられる!場合は、直ぐに治療が必要です!




関節症

変形性関節症について

変形性関節症とは、関節を構成する骨の間にある軟骨の変化と、疼通(痛み)
及び、機能不全とする進行性の疾患


変形性関節症

骨に衝撃を防ぐクッションの役割や
関節をスムーズに曲げる役割の関節軟骨が、
すり減ってしまう事で骨と骨ぶつかり合い、
しだいに関節が変形してしまう。

また、腫れを伴う関節炎を起こします。



変形性関節症は、代表的な関節炎で、年齢を重ねることで起こりうる場合が多いが
発育期の整形外科疾患から付随して起こる場合や、若い年齢でも発生する事もある


また、ゆっくり進行するので、初期の病状が見えずらい一面があり、
進行が進むと、関節周囲に「腫れや痛み」などの症状が起こります


飼い主さんのほとんどが、発病していることに気が付けない
又は、気が付いても、年齢的な要因と見なして深刻性が薄い場合もある!


日々の生活で、注意深く観察する事が大事で、骨が変形、痛みを伴い
関節症が進行すると歩行が困難になるので、早い段階で治療を進めたいですね!


変形性関節症の原因は多彩ですので、
病態も一定ではないので、病状によって治療法を最適化する必要があります


変形性関節症の病態が悪化すると、完全に解消することは出来なくなり
疼通(痛み)軽減し、病気の進行を遅らせるなどで治療を進めていく事になる!




変形性関節症の発病とする原因

  • 年齢(高齢)
  • 犬種(25kg 以上の大型犬)
  • 遺伝的
  • 発育期整形外科疾患
  • 損傷
  • 肥満

画像の説明


  1. 高齢になるにつれ、老化による筋肉の衰えがでてくる
  2. 関節に負担が大きい、大型犬がなりやすい傾向がある
  3. 関節に損傷(捻挫、骨折など)を与える外傷(関節の緩み)によるもの
  4. 過度な運動など、繰り返しの負荷が蓄積された関節炎によるもの
  5. 肥満による過度な負担が関節にかかる影響
  6. 発育期整形外科疾患など、二次的要因で起こる


変形性関節症を起こしやすい犬種

(ジャーマン・シェパード・ドッグ、ロットワイラー、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、フラットコーデット・レトリーバー、バーニーズ・マウンテンドッグ、ニューファンドランド)など




変形性関節症の初期の兆候

  1. 寝ていることが多くなってきた
  2. 起き上がる動作が遅い。或いは、簡単に立ち上がることが出来ない
  3. 喜んで遊ばなくなってきた。ジャンプしなくなってきた
  4. 散歩に時間が掛かる。早く歩けなくなってきた
  5. 関節を舐めたり、噛んだりする
  6. 歩き方に違和感がある。お尻が左右に動く、ピョンピョン跳ねる
  7. 活発性が無くなってきた。


関節疾患の予防

関節のトラブル!3っの「予防 & 対策」と「生活環境の改善」

①「体重管理」

過体重または肥満は、関節に負担を与える大きな原因で
太らせてしまわないように、体重管理が必要になってきます

肥満の原因は、消費エネルギーよりも、摂取エネルギーが多い場合ですので
栄養素を過剰に摂りすぎないことと、適度な運動が必要になります

特に、1歳前後で肥満になってしまうと、
発育期の関節形成に大きな影響を与えるので、十分注意が必要になってくる


②「過度な運動」

運動は不可欠で、筋肉を強化する上でも
毎日の運動を、適度に行うことが必要になります

しっかりと筋肉を付けることで、関節への「衝撃や脱臼」を防げるよう
日頃からの適度な運動を、持続性に心がけて筋肉を鍛えていきましょう!

ただ、過激な運動によって、関節に負担を与えてしまうこともあるので、
場合によっては休ませたり、負担が少ない運動の心がけも必要です!


③「食事管理」

食餌の改善によって、炎症や疼通(痛み)の制御を助けるので
改善させうる特定の栄養素を、取り入れていくことも必要になってくる

特に、年齢を重ねてきた「シニア」は、免疫機能の低下してきますので
シニア用の食餌に切り替えてあげるなど、関節の健康に配慮していきたいですね!


生活環境も配慮していきたい!

犬は、活きよいよく走りだしたり、物を追いかけたりしますが
フローリングや畳など、滑りやすいと関節トラブルのリスクも高まり

しかも、クッション性もありませんので
関節の負担(衝撃)にも、注意していきたいです

また、普段の散歩コースが、舗装やコンクリートも負担を掛けてしまう
特に、年齢を重ねるにあたって考慮すべきで点で、

出来るだけ、土の上やクッション性が高い場所を選ぶことを心がけましょう!




栄養素

関節炎などに良い主要栄養素

オメガ-3脂肪酸

体によい脂肪酸の代表格(DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸)
関節痛など、炎症を和らげる働きがあるとされている

オメガ-3脂肪酸、特にエイコサペンタエン酸(EPA)の投与は、
犬における変形性関節症を管理する際に有効になるようで

体内で代謝されて、炎症を抑制する物質が作られるほか様々な働きをする

「EPA」を添加した食餌で、いくつかの所見が改善された報告もあり、患肢の歩幅と体重負荷能の改善、患肢触診時の 疼通(痛み)の軽減、跛行の改善が報告されている


変形性関節症の助けとなる「ω-3脂肪酸」の配合

「ω-3脂肪酸」3.5%~4.0% 乾物量
「EPA」として0.4%~1.1% 乾物量

「ω-6脂肪酸」と「ω-3脂肪酸」の比率「1:1」
(治療食を与える犬は、体重1kgに対して、1日 50mg~100mg のEPA)



L-カルニチン

変形性関節症の発病を、遅らせて病状を最小限にするためにも
体重を適正に維持する「体重管理」が不可欠となるのですが...

逆にいうと、過体重や肥満に陥って犬が、変形性関節症の発病しやすいとされ
体重減少に役立てる栄養素として「L-カルニチン」が上げられる

「L-カルニチン」は、脂肪代謝とエネルギー生産に関与していて
脂肪減少を誘導し、更に、除脂肪体組織を増やすことができる

※ 脂肪組織(体脂肪)、除脂肪組織(筋肉や内臓など....脂肪組織以外)


除脂肪体組織は、脂肪組織よりも多くのカロリーを消費するため
長期間の体重維持に関しても適していることになる

体重減少と体重維持の手助けとして

「L-カルニチン」は、最低でも300mg/kg乾物量 含有させることが望ましい

「L-カルニチン」最低でも300mg/kg乾物量




コンドロイチン硫酸、グルコサミン硫酸

コンドロイチン硫酸の効果として

  • インターロイキン-1の生産を減少させること
  • 細胞分解活性を制御すること
  • メタロプロテイナーゼ活性を妨害すること
  • ヒスタミン介在性炎症を制御すること
  • グリコサミノグリカンおよびコラーゲンの生成を促進する


変形性関節症を発病した犬の為の療法食として

コンドロイチン硫酸、グルコサミン硫酸を添加することは
安全で、有益である可能性があるとされている

有益な効果が得られた研究に基づくと

「グルコサミン硫酸」体重1kg当たり1日25mg~50mg
「コンドロイチン硫酸」体重1kg当たり1日15mg~40mg




抗酸化物質

絶対に不可欠な「酸素」を取り入れると
細胞や体内の代謝活動において「フリーラジカル」と言う細胞毒が作られます

要するに、「フリーラジカル」によって組織破壊されるのですが...
「加齢、癌、糖尿病、狼瘡(組織破壊)、関節炎」など、様々な病気と関連してる

ただ、この「フリーラジカル」は、
正常の場合ですと、抗酸化酵素によって緩和されることになります

しかし、抗酸化酵素は年々低下して、加齢によって少なくなってしまいます
ですので、年齢を重ねていく中で、積極的に抗酸化物質を摂取する必要がでてくる

また、「フリーラジカル」は、軟骨の加齢変化や変形性関節症に関連しているので
予防的、或いは、治療的な効果があることが示されている


抗酸化物質とは、「ビタミンE、ビタミンC、セレン」など
愛犬の老化により積極的に取りたい栄養素!抗酸化物質とは



リン、ナトリウム、尿pH

「リン、ナトリウム」は、
変形性関節症など、関節炎では、直接的には関係がありませんが

高齢に伴った「変形性関節症」は、
必然的に、腎疾患や心疾患などのリスクも伴ってきます

健康状に問題なければ、
「リン、ナトリウム」は、重要な栄養素として必要ですが

病気、或いは、高齢では、リスク因子としても知られていて
高齢にともなって、「リン、ナトリウム」を考慮する必要がでてきます

高齢期に基づく「リン、ナトリウム」含量

「リン」0.3%~0.7%/乾物量
「ナトリウム」0.2%~0.4%/乾物量