犬とっての必須アミノ酸はバランスが大事!タンパク質の質とは

タンパク質

蛋白質は、体のあらゆる組織と器官に不可欠な構成要素
タンパク質が分解されるとアミノ酸となり、カラダの各所で使われることになる

何百何千のアミノ酸で構成された大きく複雑な分子がつらなっているが、
一般的には20種類のアミノ酸のみがタンパク質を構成するとされている


健康を維持するために、体に必要なもの(栄養)を取り込むうえで
特に必要な「炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル」が重要な栄養素

蛋白質は、生きていく(体を作る)上で、重要となる栄養素で
骨や筋肉、血液や皮膚などの組織を作り、更に酵素を作っている主要な成分でもある



タンパク質は、何百から何千のアミノ酸で構成されていて
アミノ酸は(炭素・水素・酸素・窒素、ときにはイオウやリン)で構成

基本的には、何百のアミノ酸は存在しているが、
タンパク質を構成してるアミノ酸は、わずか20種類のみで構成するとされている!

このアミノ酸は、大きく複雑な分子がつらなっていて鎖状に連結されていて
結合の順番や結合の形によって、アミノ酸の種類が決められている!




20種類のアミノ酸のなかで、犬では10種類、猫では11種類のみが必要で
「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」とで分類される
※ 因みに、人の場合の「必須アミノ酸」は、9種類

必須アミノ酸
体内で必要とされるアミノ酸で、生合成することができない

非必須アミノ酸
その他のアミノ酸の多くは、体内で他の物質から生合成することができるので
十分な窒素とエネルギーが利用できれば、必ずしも必要はない


必須アミノ酸は10種類!

犬に必要なアミノ酸は
「アルギニン・トリプトファン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・
スレオニン・バリン・ロイシン・イソロイシン・ヒスチジン」
の10種類

必須アミノ酸非必須アミノ酸
アルギニンアラニン
ヒスチジンアスパラギン
イソロイシンアスパラギン酸
ロイシンカルニチン
リジンシスチン
メチオニングルタミン酸
フェニルアラニングルタミン
トリプトファングリシン
トレオニンタウリン
バリンリシン
-ヒドロキシリジン
-ヒドロキシプロリン
-プロリン
-セイン
-チロシン


人間も同じですが、犬も「必須アミノ酸」を自分で作ることができないため
食べ物から、タンパク源を補給する必要があります

蛋白質は、食餌からのアミノ酸と、予め体内で合成された非アミノ酸から合成される





需要なアミノ酸

いくつかのアミノ酸は、「栄養・健康」において、重要な役割を果たす
「アルギニン、タウリン、グルタミン/グルタミン酸」

アルギニンは、
必須アミノ酸で、欠乏することによってアンモニア中毒と同様な病状が直ちに現れる

アンモニアのような含窒老廃物(窒素を含む排出物)を解毒化する代謝経路である
尿素回路(アンモニアを尿素に変えて無毒化する経路)において重要な中間代謝物質になる

しかし、アルギニンは、ほとんどのタンパク質源から供給される
ですので、一般的なドッグフードには、アルギニンは添加されていない場合が多い

AAFCO 推薦基準

栄養素単位幼犬用基準成犬用基準最大
アルギニン%1.0 以上0.51 以上-


タウリンは、アミノ酸の一種となり、厳密にはアミノ酸ではなく、
他の必須アミノ酸と異なりタンパク質の合成には関与しない

肝汁酸を形成して脂肪の吸収を助ける、また、中枢神経系で働き体温調整、脳の発達、正常な網膜構造や心機能の維持に関与している、また、細胞膜を安定させ調節している


グルタミン/グルタミン酸は、体内で合成することができる非必須アミノ酸
但し、条件によっては必須となり、「条件付き必須アミノ酸」と言われている

重大な疾患や感染、化学療法や心臓手術などの状況下では、
グルタミン貯蔵と合成量では、必要量を蓄えられないと多くの研究で示されている

TCA酸回路、アミノ基転移反応、抗酸化物質  葉酸の補因子しててなど代謝において重要な役割を果たしている




高質な生肉

タンパク質(アミノ酸)の役割

体を作る
 軟骨・腱・靭帯、筋肉、皮膚・毛髪・爪、血中の成分、ホルモンなど
 体の構造組織はタンパク質(アミノ酸)で、構成されている

エネルギーの供給
 必要量を越えた余りのタンパク質(アミノ酸)は、エネルギーに利用される

体の機能を正常にする
 タンパク質は体を作る以外にも酵素として体の調子を整える




不足すると?摂り過ぎたら?

タンパク質の過剰

基本的には、必要量を越えたタンパク質(アミノ酸)は、
エネルギーに利用される形になるが、

エネルギーとしても十分の場合は、
脂肪等に転換されて体内に蓄積され、肥満の原因となる

実際的には問題ではないとされているが、但し、「尿素回路でアンモニアの解毒や
窒素老廃物の排泄に関与している器官」に影響を与える場合など

特に「腎臓や肝臓」に疾患がある場合は、症状を進行させる場合もあるので
過剰摂取には注意する必要があり、場合によっては最小限に抑えることも必要となる


脂質の欠乏

蛋白質(アミノ酸)が不足すると
成長不良、食欲不振、貧血、不妊、乏乳、脱毛病、皮毛脆弱化、皮毛の粗化

特定のアミノ酸が欠乏した場合も、蛋白質欠乏に似た臨床病状が認められる
蛋白質の欠乏が持続すると、筋萎縮(筋肉がやせる)が起こり、血中濃度が低下する





アミノ酸の「質」

タンパク質(アミノ酸)の「質」について

タンパク質の「質」とは
食餌由来のアミノ酸を組織に変換させる効率のこと

摂取したタンパク質源と必須アミノ酸含量と利用性によって決まる
必須アミノ酸含量が理想的な割合で供給できるものを「高品質なタンパク質」


1つ以上の必須アミノ酸が欠けることでタンパク質の品質が低下して低品質と呼ばれる

また、低品質のタンパク質では、いくつかの必須アミノ酸が過剰で、その過剰な必須アミノ酸が他の必須アミノ酸の利用を妨げる




インバランスと拮抗

アミノ酸の特徴として、ある特定のアミノ酸を大量にとることで、アミノ酸同士のバランスがくずれると、どのアミノ酸の不足がない状態でも、相対的に欠乏状態が出現したと体が錯覚する「アミノ酸インバランス」という状態を引き起こす。


タンパク質の低下にともなって利用効率が低下すると

低品質のタンパク質は深刻な栄養不良につながり
急激な体重減少、食欲の低下を招き最終的には死に至ることもある


愛犬に「手作りご飯」の場合は、特に必須アミノ酸のバランスには注意が必要だ!
一般的なペットフードであれば、第一制限アミノ酸は起こりにくい

※ 特定の必須アミノ酸の供給量が少ないアミノ酸を「第一制限アミノ酸」





たんぱく質の供給源として大きく分けると

動物性タンパク質(肉・魚・卵・乳製品)
すべての必須アミノ酸を動物性たんぱく質に豊富に含有して品質が高いとされる
一般的なペットフードでは、高タンパク質として、「鶏肉、七面鳥、魚肉」などが上げられる

植物性タンパク質(大豆・米・トウモロコシ・小麦・豆腐)
植物性たんぱく質には、一部の必須アミノ酸が少ないものが多い

例えば、トウモロコシは、「リジン、トリプトファン」が少ない
但し、複数のタンパク質源を組み合わせることで、「質」を向上させられる

蛋白質の相補性利用(多数の蛋白質源を与える)アミノ酸補給を行うことで、質を改善できる


植物性タンパク質と動物性タンパク質を比べると
全体的に、植物性タンパク質が消化率が低いとされているのは


植物の繊維や炭水化物が栄養素の分解速度の低下や細菌の活性促進の影響によって、消化の低下がみられる
繊維がアミノ酸やペプチドを吸着すると共に、細胞壁の構成成分として消化酵素の障壁となるから




タンパク質の利用性に影響をもたらす要因は


全体的に見て、動物性タンパク質より植物性タンパク質の方が消化率が低い

植物性タンパク質源に見られる
「タンニン、ペクチン、オリゴ糖、フィチン酸、トリプシン」 の 阻害物質がある

ペットフードの加工工程の中で、
高温調理されることで「アミノ酸の品質と消化性」に影響を及ぼす

特に「肉粉や骨粉」などは、ほとんど高温調理されるため品質に大きく影響する
※ 加工工程の6℃上昇と加工時間の25分延長で栄養素の変化が生じることは研究結果で示されている

過度の過程調理によって、メイラード反応(酵素を介さずに糖とアミノ酸(タンパク質)が結合する反応)で、非消化性の栄養素が形成されてしまう



必須アミノ酸は、適正な分量とバランスが重要

そして、原材料によっては消化性に影響がでるものや、高温調理、過度の過程調理などによって「アミノ酸の品質と消化性」に影響がでてくる

タンパク質の「質」の低下に伴って、利用性(効率)が低下することになる